訪問看護ステーションを開設しても、利用者が集まらなければ1か月ももちません。そして利用者の依頼は、待っていて自然に来るものではありません。
依頼の大半はケアマネジャーから入ります。つまり「ケアマネジャーの頭の中で、何番目に思い出してもらえるか」が、そのままステーションの稼働率になります。
この記事では、依頼が入るまでの流れと、実際にやるべき営業活動を整理します。
この記事でわかること
- サービス開始までの3ステップ
- 依頼をもらえる4つのルートと、その優先順位
- 「3番手までに入る」という現実的な目標設定
- 営業で実際に何を伝えるか
- 依頼が続くかどうかを決める報告業務
サービス開始までの流れ
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | サービスの依頼をもらう |
| 2 | 訪問看護指示書を主治医からいただく |
| 3 | 利用者と契約し、サービス開始 |
介護保険と医療保険の2種類の利用形態があり、どちらで入るかによって指示書の種類も請求先も変わります。
依頼をいただける機関
| 依頼元 | 特徴 | 優先度 |
|---|---|---|
| ケアマネジャー(居宅介護支援事業所) | 介護保険を使ったサービス提供。依頼の中心 | 最優先 |
| 医療機関(大学病院・退院調整看護師・クリニック・在宅医) | 退院時や医療依存度の高いケースで依頼が入る | 高 |
| 介護施設 | 施設の看護体制を補完する形での依頼 | 中 |
| 本人・家族から直接 | 件数は少ないが、ホームページ経由などで入ることがある | 低 |
依頼をいただくために大切な2つのこと
やることを突き詰めると、次の2つだけです。
- 当事業所を知っていただく(認知)
- 良い印象を持ってもらう(信頼)
どちらか一方では依頼になりません。知られていても印象が薄ければ思い出してもらえず、印象が良くても知られていなければ選択肢に入りません。
良い印象を持ってもらうには「強み」を明確にする
ケアマネジャーから見ると、訪問看護ステーションはどこも同じに見えます。そこで効くのが「うちはこれができます」という具体性です。
- 得意分野を明確にする(小児、精神科、認知症、ターミナル、褥瘡など)
- 緊急時の対応体制を明言する(24時間対応しているかどうかは、ケアマネにとって最重要情報のひとつです)
- スタッフの構成を伝える(男性スタッフがいれば体格の大きい利用者にも対応しやすい、女性スタッフの安心感など、それぞれの強みがあります)
- 受けられる曜日・時間帯・エリアをはっきり伝える
「なんでもやります」は、裏を返すと「何が得意かわからない」ということです。断る範囲まで含めて伝えるほうが、結果的に信頼されます。
認知を上げるための営業
営業先の順番
- 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)
- 病院・クリニック・在宅医
- 介護施設
営業で伝えること
- 自分たちにできること(具体的に)
- 相手が抱えている課題を解決する提案
- 緊急時対応の体制を取っていること
ここで大事なのは、自社の説明より相手の困りごとを聞くことです。「今、対応先が見つかりにくい利用者さんはいますか」と聞ければ、次の提案につながります。
目標は「3番手までに入る」こと
同業他社がすでに入っていても、依頼は来ます。ケアマネジャーは案件ごとに事業所を選ぶため、候補として3番手までに入っていれば必ず出番が回ってきます。
1番手を狙うより現実的で、達成もしやすい目標です。そのためにまず必要なのが、顔と名前を覚えてもらうこと。何度も足を運ぶ地道さが効く場面です。
依頼が続くかどうかは「報告」で決まる
ケアを提供するだけでは、次の依頼にはつながりません。ケアマネジャーが本当に助かるのは、自分が知りたい情報が、聞く前に届くことです。
- 状態が変わったとき、その日のうちに一報を入れる
- 家族の様子や生活の変化など、医療以外の情報も伝える
- 報告書は読む相手にとって必要な情報から書く
「あのステーションは報告が早い」という評価は、営業活動のどんな工夫よりも強く効きます。
よくある質問
Q. 営業に行く頻度はどれくらいが適切ですか?
A. 開設初期は月1回程度、顔を出すペースが一つの目安です。ただし用件もなく訪問し続けると逆効果なので、新しい情報(新しいスタッフ、対応できるようになった内容、空き状況)を持っていくことをセットにしてください。
Q. パンフレットは必要ですか?
A. あったほうがいいですが、それ以上に効くのは1枚の空き状況表です。「今週は何件受けられます」という情報は、ケアマネジャーがその場で使える情報だからです。
Q. ホームページからの依頼は期待できますか?
A. 件数としては多くありません。ただしケアマネジャーが事業所を調べるときに見られます。集客というより、営業で会った後の裏づけとして機能すると考えるのが現実的です。
まとめ
- 依頼のメインルートは居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)
- 必要なのは認知と良い印象の両方
- 強み(得意分野・緊急時体制・対応エリア)を具体的に伝える
- 目標は1番手ではなく「3番手までに入る」
- 依頼が続くかどうかは報告の早さと内容で決まる
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営業と報告がまわっている事業所は、利用者が安定し、結果としてスタッフの働き方にも余裕が出ます。逆に依頼が細い事業所は、件数のプレッシャーが現場にかかりがちです。職場選びの視点としても押さえておきたいところです。
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