スキップしてメイン コンテンツに移動

訪問看護指示書とは?4種類の違いと有効期間|特別指示書で医療保険に切り替わる点に注意

訪問看護に関わり始めると、最初に覚えることになるのが訪問看護指示書です。「医師が出す書類」という理解でも仕事は回りますが、種類・有効期間・保険の切り替わりを押さえていないと、算定を落としたり、無保険で訪問してしまう事故につながります。

特につまずきやすいのが特別訪問看護指示書です。これが出ると、それまで介護保険で入っていた利用者が医療保険に切り替わります。ここを見落とすと請求がまるごと通りません。

この記事では、4種類の指示書の違いを表で整理し、実務で間違えやすいポイントをまとめます。

この記事でわかること

  • 訪問看護指示書とは何か、なぜ必要なのか
  • 4種類の指示書の違い(有効期間・保険・算定)
  • 特別訪問看護指示書で医療保険に切り替わるという重要ポイント
  • 実務で間違えやすい5つのこと
  • よくある質問

訪問看護指示書とは

訪問看護指示書とは医師から交付される書類になります。

訪問看護は医師が必要と認めた場合のみ、指示書が交付されます。仮に患者が訪問看護をきぼうしたとしても、指示書がなければ医師が認めたことにならないため訪問看護は行えません。

とはいえ、通院困難な状態でなくても利用できるケースがあり、一時的な症状の悪化ではなく継続的な療養が必要という条件は療養が必要という条件はあるものの、たとえば通院中の高齢者宅へ内服管理に行くことも訪問看護の一環として認められます。

他にも日常生活の看護やリハビリ、治療促進や症状緩和など幅広い看護内容があるため、それぞれの患者の状態や症状に合わせた適切な訪問看護指示書が必要です。

また、どのような看護が必要かによって訪問看護指示書の内容や種類が変化するため、訪問看護を続ける中で変化が表れた際は、医師に報告したうえで新たな訪問看護指示書を交付してもらうことになります。


どのような種類がありどのような内容なのかをチェックしていきます。


1,訪問看護指示書

スタンダードなものです。医療保険と介護保険の両方に対応しており、訪問看護ステーションの依頼によって医師が交付します。この時に渡されるのは原本でなくてはなりません

内容は、個人情報、症状や投与中の薬剤、日常生活自立度、利用中の医療機器、リハビリの有無や医師からの指示などです。

期間は1か月から6か月ですが、特に指示機関の記載がない場合は1か月となります。

指示書を交付する際に算定できる点数は月に1回のみです。


2,特別訪問看護指示書

訪問看護指示書に次いでよく利用されます。患者の容体が急激に悪化した場合や退院直後など、頻回の訪問看護が必要だと医師が判断した場合に交付する特別な指示書になります。基本的には訪問看護指示書がだされている患者さんにたいして交付されます。

この特別訪問看護指示期間中の訪問看護は医療保険となります。それまで介護保険で入っていた場合は医療保険に切り替わります。

指示期間は最長14日間です。

この指示書を交付すると医師は原則として月1回100点を算定できます。患者が器官カニューレを使用している場合や褥瘡が真皮をこえている場合は月2回までの交付が可能です。

記載内容はシンプルになります。


3,在宅患者訪問点滴注射指示書

患者に対して週3日以上の点滴注射が必要だと医師が判断した場合に、訪問看護ステーションが点滴注射に対応できるように交付される書類です。

書類の様式は、通常の訪問看護指示書や特別訪問看護指示書と変わりません。原則1週間に1回の交付となり、1回の指示期間は7日以内となっています。

ただし、在宅患者訪問点滴注射指示書で対応できるのは抹消静脈に限られ、心臓近くにカテーテルを通すリスクの高い「中心静脈栄養」を行うことはできません。


4,精神科訪問看護指示書

精神疾患を有する入院中以外の患者を対象として、適切な在宅医療が必要だと医師が判断した場合に交付される書類です。

訪問看護ステーションが、精神科訪問看護基本療養費やその加算を算定する場合に、主治医へ交付を依頼します。

ほかの訪問看護指示書はあくまでも患者本人が対象となっていますが、精神科訪問看護指示書は患者だけでなくその家族までが訪問看護の対象となっている点が特徴です。

またこの指示書は精神科を擁する医療機関の精神科医が交付しなくてはなりません。

訪問看護基本療養費やその加算を算定する場合は、通常の訪問看護指示書の交付も必要となります。

※認知症患者は精神疾患の患者とは別とみなします。







4種類の指示書 早見表

種類有効期間適用保険交付の場面
訪問看護指示書1〜6か月
(記載なしは1か月)
医療保険/介護保険
どちらにも対応
訪問看護を開始するとき(基本)
特別訪問看護指示書最長14日間医療保険に切り替わる急性増悪、退院直後など
頻回の訪問が必要なとき
在宅患者訪問点滴注射指示書最長7日間指示書の種類に準じる週3日以上の点滴が必要なとき
精神科訪問看護指示書1〜6か月医療保険のみ精神疾患を有する方への訪問

実務で間違えやすい5つのポイント

1. 特別指示書が出ると保険が切り替わる

これが最重要です。介護保険で訪問していた利用者でも、特別訪問看護指示書の期間中は医療保険での訪問になります。

期間は最長14日間。この間の記録・請求先が変わるので、事務側との連携が必須です。ここを見落とすと、後から請求のやり直しになります。

また、特別指示書は原則として月1回までですが、気管カニューレを使用している方、真皮を越える褥瘡がある方は月2回まで交付できます。

2. 指示期間の記載がなければ「1か月」

訪問看護指示書は1〜6か月の範囲で期間を指定できますが、記載がない場合は1か月と扱われます。「6か月のつもりだった」という思い込みで期限切れのまま訪問していた、という事故が起きます。

指示書の有効期限は必ず台帳やシステムで管理し、切れる前に次を依頼してください。

3. 交付されるのは「原本」

訪問看護指示書は原本の交付を受ける必要があります。コピーやFAXのみでは要件を満たしません。

4. 精神科は別の指示書

精神疾患を有する方への訪問看護には精神科訪問看護指示書が必要で、通常の指示書とは別物です。介護保険は使えず、医療保険のみである点にも注意してください。

5. 状態が変われば指示書も出し直す

利用者の状態が変化したのに、古い指示内容のまま訪問を続けるのは危険です。変化があれば主治医に報告し、新たな指示書を交付してもらうのが原則です。

指示書がないと訪問できない理由

訪問看護は医師が必要と認めた場合にのみ提供できるサービスです。利用者本人やご家族が希望しても、指示書がなければ「医師が必要と認めた」ことになりません。

なお、通院が完全に困難でなくても利用できるケースがあります。「一時的な症状悪化ではなく、継続的な療養が必要」という条件を満たせば、通院中の高齢者宅へ内服管理に入ることも訪問看護の一環として認められます。

よくある質問

Q. 指示書の依頼は誰がしますか?

訪問看護ステーションから主治医へ依頼するのが一般的です。ケアマネジャー経由で調整することもあります。期限管理はステーション側の責任と考えて動いたほうが確実です。

Q. 主治医が変わったらどうなりますか?

新しい主治医から改めて指示書を交付してもらう必要があります。前の医師の指示書は使えません。

Q. 特別訪問看護指示書の14日間は、どこから数えますか?

指示書に記載された指示期間の開始日から起算します。月をまたぐこともあります。

Q. 点滴注射指示書は単独で出せますか?

在宅患者訪問点滴注射指示書は、訪問看護指示書または特別訪問看護指示書とセットで運用されるものです。週3日以上の点滴が必要な場合に交付され、有効期間は最長7日間です。

まとめ

  • 訪問看護指示書は医師の交付が必須。ないと訪問できない
  • 種類は訪問看護指示書/特別訪問看護指示書/在宅患者訪問点滴注射指示書/精神科訪問看護指示書の4つ
  • 特別指示書が出ると医療保険に切り替わる(最長14日間)。ここが最大の注意点
  • 期間の記載がなければ1か月。期限管理を徹底する
  • 交付は原本で受ける
  • 精神科は医療保険のみ
  • 状態が変わったら指示書も出し直してもらう

※制度・算定要件は改定により変更されます。実際の運用にあたっては、最新の告示・通知および所属事業所のルールをご確認ください。

PR
指示書の扱いや医療保険への切り替えは、事業所ごとに運用ルールが大きく違います。今の職場のやり方に疑問を感じたら、他事業所の実態を見てみるのも一つの方法です。
介護・福祉の転職サイト『介護JJ』

関連記事

コメント

このブログの人気の投稿

訪問看護で必要な書類一覧|看護記録書Ⅰ・Ⅱの違いと計画書・報告書の提出先を早見表で整理

訪問看護ステーションでは、ケアそのものと同じくらい 書類の作成が業務時間を占めます 。しかも「どの書類を、いつ、誰に出すのか」が整理できていないと、実地指導での指摘や、加算の算定漏れに直結します。 この記事では、訪問看護で作成する主な書類を 作成タイミングと提出先の早見表 にまとめ、それぞれの書き分けのポイントを整理します。 この記事でわかること 訪問看護で作成する書類の全体像 看護記録書Ⅰと看護記録書Ⅱの違い 計画書・報告書をいつ、誰に提出するか 加算の算定に必要になる記録 書類の早見表 書類 作成タイミング 主な提出・交付先 訪問看護記録書Ⅰ 初回サービス提供時(状態変化時にも更新) 事業所内で保管 訪問看護記録書Ⅱ 訪問するたび 事業所内で保管 訪問看護計画書 サービス開始時/目標・状態・指示書・ケアプランの変更時 利用者(同意のうえ交付)・主治医・ケアマネジャー 訪問看護報告書 月1回を目安に定期的に 主治医(ケアマネジャーにも共有) 情報提供書 他機関へ情報を引き継ぐとき 市町村・学校・他の医療機関など 褥瘡対策に関する計画書 褥瘡のリスク・発生があるとき 事業所内で保管(主治医と共有) 業務日報 毎日 事業所内で保管 看護サマリー 入院・転院・サービス終了時 入院先・転院先の医療機関など 訪問看護記録書Ⅰ(フェイスシート) フェイスシートとも呼ばれ、 初回のサービス提供時に作成 します。これから提供する訪問看護のために、知っておくべき基本的な情報を収集して記載する書類です。主治医など、連携する他職種から得た情報もまとめて記入します。 訪問看護は毎回同じ看護師が訪問できるとは限りません。だからこそ 初回以外でも、状態が変化したタイミングで更新しておく ことが望ましい書類です。「誰が入っても同じ前提でケアに入れる」状態を作るのが、この書類の目的です。 記載しておきたい項目 基本情報(氏名・生年月日・住所・連絡先・家族構成) 主治医・医療機関・ケアマネジャーの連絡先 既往歴・現病歴・服薬状況 介護保険の要介護度、医療保険か介護保険か 住環境(段差・トイレ・浴室・入口の状況) 本人・家族の意向、緊急時の連絡順位 訪問看護記録書Ⅱ 訪問するたびに作成 する記録です。記載方法に決まった様式はありま...

ターミナルケア加算とは?2,500単位に引き上げ|死亡日前14日の数え方と医療保険との使い分け

ターミナルケア加算は、訪問看護の加算のなかで 1件あたりの単位数が最も大きい加算 です。看取りに関わったのに算定できていなかった、というのは金額的にも大きな取りこぼしになります。 現在の単位数は2,500単位 です(以前は2,000単位でした)。加算の性質上、算定できるかどうかは 亡くなる前の14日間に何日ケアに入っていたか で決まるため、その時点での動き方がそのまま結果を左右します。 この記事でわかること ターミナルケア加算の単位数( 2,500単位 に引き上げられています) 「死亡日前14日以内に2日以上」の数え方 1日以上でよい利用者 がいること 医療保険と介護保険をまたいだ場合、どちらで算定するか 記録がないと算定できないという実務上の注意 単位数 加算 単位数 算定するタイミング ターミナルケア加算 2,500単位 利用者の 死亡月 に1回 「2日以上」と「1日以上」の違い 原則は 死亡日および死亡日前14日以内に2日以上 ターミナルケアを行っていることですが、末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める状態の利用者は 1日以上 で算定できます。 利用者 必要な日数 原則 死亡日+死亡日前14日以内に 2日以上 末期の悪性腫瘍、ALS、多発性硬化症、重症筋無力症、パーキンソン病関連疾患、人工呼吸器使用中の状態 など 死亡日+死亡日前14日以内に 1日以上 「あと1日足りない」というケースを防ぐには、状態が変化した時点で 訪問間隔を詰める判断 をしておくことが実務的なポイントになります。  ターミナルケア加算とは、ターミナルケアを行う体制を整え、ターミナル期の利用者にターミナルケアを実施することを評価する加算です。 死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合 2,500単位/月 〈算定要件〉 ・24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて訪問できる体制を整備していること ・体制を届け出を行っていること ・主治医との連携の下に、ターミナルケアに係る計画、支援体制について利用者とその家族に説明し、同意を得てターミナルケアを行っていること ・死亡日、死亡日前14日以内に2日(末期の悪性腫瘍等の特定の利用者については1日)以上ターミナルケアを行っていること ・ターミナルケアの提供について必要な...

特別管理加算とは?(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位の対象者早見表|どちらで算定するか迷わない判断手順

特別管理加算は、 医療的な管理が必要な利用者を担当したときに毎月上乗せできる加算 です。緊急時訪問看護加算と並んで、訪問回数を増やさずに収益を積み上げられる数少ない加算のひとつです。 ポイントは (Ⅰ)500単位と(Ⅱ)250単位のどちらに当てはまるか 。対象となる状態が細かく決まっており、「(Ⅱ)で算定していたが実は(Ⅰ)だった」という取りこぼしが起こりやすい加算でもあります。 この記事でわかること 特別管理加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の単位数と対象者の違い どの状態がどちらに該当するかの 早見表 1人の利用者につき1事業所しか算定できないというルール 褥瘡・点滴で必要になる 記録の要件 まずは早見表で確認 区分 単位数 対象となる状態 (Ⅰ) 1月につき+500単位 在宅悪性腫瘍等患者指導管理/在宅気管切開患者指導管理/気管カニューレの使用/留置カテーテルの使用 (Ⅱ) 1月につき+250単位 在宅自己腹膜灌流/在宅血液透析/在宅酸素療法/在宅中心静脈栄養法/在宅自己導尿/在宅持続陽圧呼吸療法/在宅自己疼痛管理/在宅肺高血圧症患者の各指導管理、人工肛門・人工膀胱、真皮を越える褥瘡、週3日以上の点滴注射 (Ⅰ)は4つだけ と覚えておくと判断が早くなります。「気管切開・気管カニューレ・留置カテーテル・在宅悪性腫瘍等」の4つに当てはまらなければ(Ⅱ)を検討する、という順番です。  特別管理加算とは、特別な管理を必要とする利用者に対して、計画的な管理を行うことを評価する加算です。 (介護予防)訪問看護 (Ⅰ)500単位/月            (Ⅱ)250単位/月 〈(Ⅰ)の算定要件〉 ・訪問看護サービスの実施に関する計画的な管理を行っていること ・利用者や居宅介護支援事業所が事業所を選定する上で必要な情報として届出していること ・訪問の際、利用者の症状が重篤だった場合、速やかに医師による診察を受けることができるように支援すること ・次の利用者に対して訪問看護を行うこと   在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態   在宅気管切開患者指導管理を受けている状態   気管カニューレを使用している状態   留置カテーテルを使用している状態 〈(Ⅱ)の算定要件〉 ・訪問看護サービスの実施に関する計画的な管理を行っていること ・利用者や居宅...