訪問看護ステーションでは、ケアそのものと同じくらい書類の作成が業務時間を占めます。しかも「どの書類を、いつ、誰に出すのか」が整理できていないと、実地指導での指摘や、加算の算定漏れに直結します。
この記事では、訪問看護で作成する主な書類を作成タイミングと提出先の早見表にまとめ、それぞれの書き分けのポイントを整理します。
この記事でわかること
- 訪問看護で作成する書類の全体像
- 看護記録書Ⅰと看護記録書Ⅱの違い
- 計画書・報告書をいつ、誰に提出するか
- 加算の算定に必要になる記録
書類の早見表
| 書類 | 作成タイミング | 主な提出・交付先 |
|---|---|---|
| 訪問看護記録書Ⅰ | 初回サービス提供時(状態変化時にも更新) | 事業所内で保管 |
| 訪問看護記録書Ⅱ | 訪問するたび | 事業所内で保管 |
| 訪問看護計画書 | サービス開始時/目標・状態・指示書・ケアプランの変更時 | 利用者(同意のうえ交付)・主治医・ケアマネジャー |
| 訪問看護報告書 | 月1回を目安に定期的に | 主治医(ケアマネジャーにも共有) |
| 情報提供書 | 他機関へ情報を引き継ぐとき | 市町村・学校・他の医療機関など |
| 褥瘡対策に関する計画書 | 褥瘡のリスク・発生があるとき | 事業所内で保管(主治医と共有) |
| 業務日報 | 毎日 | 事業所内で保管 |
| 看護サマリー | 入院・転院・サービス終了時 | 入院先・転院先の医療機関など |
訪問看護記録書Ⅰ(フェイスシート)
フェイスシートとも呼ばれ、初回のサービス提供時に作成します。これから提供する訪問看護のために、知っておくべき基本的な情報を収集して記載する書類です。主治医など、連携する他職種から得た情報もまとめて記入します。
訪問看護は毎回同じ看護師が訪問できるとは限りません。だからこそ初回以外でも、状態が変化したタイミングで更新しておくことが望ましい書類です。「誰が入っても同じ前提でケアに入れる」状態を作るのが、この書類の目的です。
記載しておきたい項目
- 基本情報(氏名・生年月日・住所・連絡先・家族構成)
- 主治医・医療機関・ケアマネジャーの連絡先
- 既往歴・現病歴・服薬状況
- 介護保険の要介護度、医療保険か介護保険か
- 住環境(段差・トイレ・浴室・入口の状況)
- 本人・家族の意向、緊急時の連絡順位
訪問看護記録書Ⅱ
訪問するたびに作成する記録です。記載方法に決まった様式はありませんが、決まりがないぶん、事業所として書き方をそろえておかないと質にばらつきが出ます。
加算との関係でいうと、真皮を越える褥瘡での特別管理加算は定期的な評価と記録が要件になっており、ターミナルケア加算も提供内容の記録が要件です。記録書Ⅱは「ケアの証明書」でもある、という意識で書きましょう。
書き方のポイント
- バイタルは数値だけでなく、前回との変化がわかるように書く
- 主観(本人の訴え)と客観(観察した事実)を分けて書く
- 主治医やケアマネへ連絡した内容は日時つきで残す
- 次回の訪問で確認すべきことを一言残しておく
訪問看護計画書
サービスを提供するにあたって、療養上の目標と、目標を達成するための具体的なサービス内容を記載する書類です。利用者の同意を得たうえで交付し、主治医やケアマネジャーにも提出します。
更新のタイミングは次のとおりです。いずれも必ず作成し直します。
- ケアプランの短期目標が更新されたとき
- 利用者の状態が変化したとき
- 訪問看護指示書に変更があったとき
- ケアプランに変更があったとき
「指示書が新しくなったのに計画書が前のまま」というのは、実地指導でよく指摘される組み合わせです。指示書が届いたら計画書もセットで見直す運用にしておくと漏れません。
訪問看護報告書
サービス提供を開始して以降、月に1度を目安に定期的に作成し、主治医へ提出します。訪問日、実施した内容、状態の変化、そして今後の方針を伝える書類です。
主治医が次の指示書を書く判断材料になるため、「指示書の更新前に届いているか」が実務上のポイントになります。指示期間の終わりから逆算して提出タイミングを決めておきましょう。
情報提供書
市町村や学校、他の医療機関などへ、利用者の状態や必要な支援を引き継ぐために作成します。制度上、様式や提出先が定められているものもあるため、何のための情報提供かを確認してから作成します。
褥瘡対策に関する計画書
褥瘡のリスクがある、または発生している利用者について、評価と対策を記載します。特別管理加算(Ⅱ)を「真皮を越える褥瘡」で算定する場合、定期的な評価と記録が算定要件になるため、この書類の運用がそのまま収益に関わります。
業務日報
その日の訪問先・訪問時間・移動・実施内容を記録します。訪問時間の記録は、サービス提供時間区分の根拠になります。夜間・早朝・深夜加算は「サービスの開始時刻」で判定するため、開始時刻を正確に残しておくことが重要です。
看護サマリー
入院・転院・サービス終了時に、それまでの経過を引き継ぐための書類です。退院時共同指導加算を算定する場面でも、共同指導の内容を残す起点になります。
書類の保存期間
訪問看護の記録は、サービス完結の日から2年間の保存が原則です。ただし自治体の条例で5年としているところもあるため、事業所のある市区町村の基準を確認してください。
よくある質問
Q. 計画書と報告書は同じ様式でまとめてもいいですか?
A. 別の書類として作成します。それぞれ目的(これから何をするか/何をしたか)が違うため、内容も分けて記載してください。
Q. 記録書Ⅱに決まった様式がないなら自由に書いていいですか?
A. 様式は自由ですが、加算の算定根拠になる内容(褥瘡の評価、点滴後の医師への報告、ターミナルケアの提供内容など)は必ず含める必要があります。事業所で共通のテンプレートを作っておくのが確実です。
Q. 書類作成の時間は労働時間に含まれますか?
A. 業務として行う以上、労働時間です。訪問件数だけで人員を組んでいると記録時間が持ち出しになるため、記録時間を見込んだシフトになっているかは職場を見るうえで重要なポイントです。
まとめ
- 記録書Ⅰは初回、記録書Ⅱは訪問のたび
- 計画書は指示書・ケアプラン・状態が変わったら必ず更新
- 報告書は月1回、指示書の更新前に主治医へ
- 褥瘡・点滴・ターミナルの記録は加算の算定要件そのもの
- 保存期間は原則2年(自治体により5年)
PR
記録の時間が勤務時間に組み込まれているか、電子カルテやタブレットが導入されているかは、事業所ごとに大きな差があります。持ち帰り記録が当たり前になっていると感じたら、他事業所の体制を確認してみるのも一つの方法です。
介護・福祉の転職サイト『介護JJ』![]()
コメント
コメントを投稿