ご家族に「エアマットを入れたのに、なんで悪くなるんですか」と聞かれたことがあります。 そのとき、うまく説明できませんでした。 マットレスを入れれば防げる、と私自身がどこかで思っていたからだと思います。 在宅の褥瘡(じょくそう=床ずれ)は、道具だけでは止まりません。 止めるのは、毎日の生活のほうです。 今回は、訪問看護として褥瘡をどう見るか、そしてご家族に何をお願いするかを整理します。 できる場所は、だいたい決まっている 骨が出っぱっていて、体重がかかるところ。ここに集中します。 姿勢 できやすいところ あお向け 仙骨(おしりの中央)、かかと、後頭部、肩甲骨 横向き 大転子(腰の横の出っぱり)、くるぶし、耳 座位 坐骨、尾骨。車いす時間が長い方は特に 在宅で見落とされやすいのは かかと です。 掛け布団の下に隠れていて、おむつ交換の流れでは目に入りません。 訪問のたびに、意識して見る ようにしていました。 「赤くなっている」を、その場で見分ける 赤みを見つけたら、指で軽く押してみます。 押すと白くなり、離すと赤に戻る …一時的な圧迫の可能性。まだ戻せる段階 押しても色が変わらない …すでに組織が傷んでいるサイン。ここからは早い この違いを、その場でご家族にも見てもらうと伝わります。 「ここ、押しても白くなりませんよね」と一緒に見る。言葉で説明するより、ずっと早いです。 体位交換は「2時間ごと」と言い切らない 教科書では2時間ごとと習います。 ただ、在宅で介護をされているご家族に、夜中も2時間ごとにと言えるでしょうか。 私は、そこは正直に相談していました。 体圧分散マットレスが入っているなら、 間隔を延ばせる場合がある (主治医・福祉用具と相談) 完全に真横にしなくていい。 30度くらいの傾き を、クッションで作れば圧は逃げる 夜は無理をせず、 寝る前と、朝いちばんを確実に できない回数を約束させると、続きません。 続く形に落とすほうが、結果的に守れます。 マットレスは「入れて終わり」ではない エアマットを入れたのに悪くなる。冒頭のご家族の疑問には、いくつか理由があります。 設定体重が合っていない …軽い方に硬い設定のまま、が意外と多い 沈み込みすぎている …...
「これ、先生に電話したほうがいいのかな」 訪問先の玄関を出たところで、そう迷って立ち止まったことが何度もあります。 結局その日は電話せず、夜になって気になって眠れませんでした。 訪問看護でいちばん神経を使うのは、処置そのものではないと思っています。 主治医に「いつ、何を、どう伝えるか」 のほうが、ずっと難しい。 病院なら廊下で捕まえて聞けたことが、在宅では電話一本の判断になります。 今回は、報告していい基準と、短く伝わる言い方を整理します。 迷う理由は「忙しい先生に悪い」だけではない 報告をためらう理由を分けると、だいたい3つでした。 この程度で連絡していいのか分からない 何をどう言えば伝わるか自信がない 前に電話したとき、そっけない反応だった 3つ目が、いちばん尾を引きます。 ただ、あとから振り返ると、そっけなかったのは 結論が最後まで出てこない伝え方 だったから、ということが多かったです。伝え方が変わると、反応も変わりました。 「すぐ連絡する」の線引き 迷ったら連絡、が大前提です。そのうえで、置いておくと楽になる線を書きます。 場面 目安 その場で電話 意識・呼吸・循環の変化、いつもと明らかに違う痛み、出血、転倒して打ちどころが不明、指示された範囲を超える処置が必要 その日のうちに連絡 発熱が続く、食事量・水分量が数日落ちている、褥瘡が広がってきた、内服が飲めていない 次の報告書でよい 経過が安定している、ご本人の希望や生活面の変化、ご家族の負担の様子 この3段に振り分けるだけで、玄関先で立ち止まる時間はかなり減りました。 迷う一件は、たいてい 真ん中の段 にあります。真ん中は、その日のうちにファクスや連絡ノートで文字にして送る。それで十分なことが多いです。 30秒で伝わる型 電話の最初の一言を決めておくと、頭が真っ白になりません。 名乗りと相手の確認 …「○○訪問看護ステーションの△△です。□□さんの件でご報告です」 結論を先に …「発熱が3日続いていて、受診の判断をお願いしたいです」 いま見えていること …体温、食事量、いつからか。数字を入れる 背景をひとこと …前回訪問時との違い、内服の状況 こちらの見立てと依頼 …「誤嚥性のものを疑っています。往診か受診指示をい...