訪問看護ステーションの売上は「基本単位数 × 訪問回数」だけでは決まりません。実際には、体制を整えることで毎月上乗せできる加算と、場面ごとに算定できる加算の積み上げが収益を大きく左右します。
とくに緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算の3つは、届出と体制さえ整えれば継続的に算定でき、月あたりの収益インパクトが最も大きい加算です。
この記事では、介護保険の訪問看護で算定できる加算を単位数つきで一覧にし、取りこぼしやすいポイントまで整理します。
この記事でわかること
- 訪問看護の加算は大きく3タイプに分かれること
- 体制を整えると毎月つく加算と、その単位数
- 緊急時訪問看護加算が(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれたという重要な変更点
- 算定を取りこぼしやすい加算
- よくある質問
訪問看護の加算は3タイプに分けて覚える
| タイプ | いつ算定するか | 代表例 |
|---|---|---|
| 体制でつく加算 | 届出・体制があれば毎月 | 緊急時訪問看護加算/特別管理加算/看護体制強化加算 |
| 訪問のたびにつく加算 | 訪問1回ごと | 夜間・早朝・深夜/サービス提供体制強化加算 |
| 場面でつく加算 | その場面が発生したとき | 初回加算/退院時共同指導加算/ターミナルケア加算 |
この3タイプで整理しておくと、「今月どの加算が取れるはずだったか」をレセプト前に自分でチェックできるようになります。
通常の営業時間でなく、夜間(午後6時から午後10時)や早朝(午前6時から午前8時)、深夜(午後10時から午前6時)の場合に加算があります。
介護保険の訪問看護の加算
| 夜間又は早朝の場合 | 基本単位数の 25/100を加算 |
| 若しくは深夜の場合 | 基本単位数の 50/100を加算 |
算定要因は次のとおりです。
- 夜間、深夜または早朝の時間帯にサービスを提供していること
- 居宅介護サービス計画または訪問介護(訪問看護)計画上、サービスの開始時刻が、夜間、深夜、早朝の時間帯にあること
訪問看護の加算
| 特別地域訪問看護加算 | +15/100 |
| 中山間地域等における小規模事業所加算 | +10/100 |
| 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | +5/100 |
| 緊急時訪問看護加算(※) | 指定訪問看護ステーションの訪問看護 病院又は診療所による訪問看護 |
| 特別管理加算 | 1月につき(Ⅰ)の場合 1月につき(Ⅱ)の場合 |
| ターミナルケア加算 | 死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合 +2,000単位 |
初回加算
| 初回加算 | 1月につき +300単位 |
退院時共同指導加算
| 退院時共同指導加算 | 1回につき +600単位 |
看護・介護職員連携強化加算
| 看護・介護職員連携強化加算 | 1回につき +250単位 |
看護体制強化加算
指定訪問看護ステーションの場合と、病院又は診療所の場合のみ
| 看護体制強化加算(Ⅰ) | 1月につき +550単位 |
| 看護体制強化加算(Ⅱ) | 1月につき +200単位 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 1回につき +6単位 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 1回につき +3単位 |
【重要】緊急時訪問看護加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれています
上の表に載せた574単位は、現在の区分でいう(Ⅱ)にあたります。現行制度では、看護職員の負担軽減に取り組んでいる事業所は上位区分の(Ⅰ)を算定できます。
| 区分 | 訪問看護ステーション | 病院・診療所 |
|---|---|---|
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ) | 1月につき +600単位 | 1月につき +325単位 |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅱ) | 1月につき +574単位 | 1月につき +315単位 |
(Ⅰ)を算定するために必要なこと
(Ⅱ)の要件(利用者の同意・計画外の緊急訪問に対応できる体制・都道府県への届出)に加えて、次の2つが必要です。
- 利用者や家族から電話等で相談を受けた際に常時対応できる体制を整えていること
- 看護業務の負担軽減の取り組みとして、下記のうち(ア)または(イ)を含む2項目以上を満たすこと
| (ア) | 夜間対応した翌日の勤務間隔を確保する |
| (イ) | 夜間対応の連続回数を2回までとする |
| (ウ) | 夜間対応後の暦日の休日を確保する |
| (エ) | 夜間勤務のニーズに応じた勤務体制の工夫をする |
| (オ) | ICT・AI・IoTの活用で業務負担を軽減する |
| (カ) | 連絡相談を担当する者への支援体制を確保する |
月1利用者あたり26単位の差ですが、緊急時対応の同意を取っている利用者が30名いれば月780単位、年間で約9万円以上の差になります。オンコール体制の見直しとセットで検討する価値があります。
取りこぼしやすい加算3つ
1. 初回加算(+300単位)
新規利用者の初回月に1回だけ算定できます。「新規が入った月は必ず確認する」とルール化しておかないと、そのまま流れてしまいがちです。
2. 退院時共同指導加算(+600単位)
入院中の病院で、医療機関の職員と共同して在宅での療養指導を行ったときに算定します。退院前カンファレンスに参加したのに算定していない、というのが典型的な取りこぼしです。参加した日付と参加者を記録に残しておきましょう。
3. 看護・介護職員連携強化加算(+250単位)
喀痰吸引等を行うヘルパー事業所と連携し、計画作成の支援や助言を行った場合に算定します。訪問介護と密に連携しているステーションほど、算定できるのに使っていないケースが多い加算です。
加算を積み上げるとどれくらい変わるか
たとえば、緊急時訪問看護加算(Ⅰ)と特別管理加算(Ⅰ)を両方算定できる利用者が1人いれば、それだけで1月あたり1,100単位の上乗せになります。訪問1回分の基本単位数を超える金額が、訪問回数を増やさずに積み上がる計算です。
加算は「取れる人から確実に取る」ことが、そのまま職員の待遇や採用力につながります。
よくある質問
Q. 緊急時訪問看護加算は、実際に緊急訪問しなくても算定できますか?
A. できます。これは体制に対する加算のため、24時間連絡・対応できる体制を整え、利用者の同意を得ていれば、その月に緊急訪問が発生しなくても算定できます。
Q. 夜間・早朝と深夜の時間帯の区切りは?
A. 夜間は18時〜22時、早朝は6時〜8時で基本単位数の25%、深夜は22時〜翌6時で基本単位数の50%の加算です。判定は「サービスの開始時刻」で行います。
Q. 医療保険の訪問看護でも同じ加算がつきますか?
A. つきません。医療保険は診療報酬の体系で、24時間対応体制加算・特別管理加算・ターミナルケア療養費など、名称も金額も別建てです。同じ利用者でも保険が切り替われば加算も切り替わります。
まとめ
- 加算は「体制でつく/訪問のたび/場面で」の3タイプで整理する
- 収益インパクトが大きいのは緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算
- 緊急時訪問看護加算は(Ⅰ)600単位/(Ⅱ)574単位に分かれ、負担軽減の取り組みで上位区分が取れる
- 初回・退院時共同指導・看護介護職員連携強化は取りこぼしやすいので月次でチェックする
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加算をどこまで取りにいくかは、事業所の方針で大きく変わります。体制加算をきちんと算定している事業所ほど、給与や人員配置にも余裕があります。求人票の待遇差が気になったら、他事業所の条件を並べて見てみるのが早いです。
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